レビュー

『幸せとお金の経済学』レビュー|どうしてお金があっても幸せになれないかは、地位財と非地位財を知れば分かる

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幸せとお金の経済学表紙

技術の進歩で現代の暮らしぶりは豊かになりました。なのに、幸福感は増えず、現状はよくならないまま。

仕事は忙しく、生活は楽にならず、人間関係のストレス、将来への不安など、不満は尽きません。

お金があっても幸せになれない。その理由を分かりやすく説明してくれるのが、幸せとお金の経済学です。

この本で重要となる考え方は、地位財非地位財という分類です。それぞれの特徴と例を述べると、

  • 地位財:周囲との比較で幸福感を得られる物
    地位財の例:所得、社会的地位、車・家・時計などの物的消費財
  • 非地位財:それ自体に価値を見出せる物
    非地位財の例:健康、レジャー、労働環境、安全、貯蓄、自由など

となります。

地位財は他人との競争で意味をなす物であり、非地位財は他人うんぬんではなく、自分がそれを持っているかどうかが大切になります。

モノによっては考え方次第でどちらに分類されるか決まることもあり、例えば「結婚」は、配偶者を他人への自慢材料と考えると地位財になり、家族との愛に重きを置くと非地位財になります。

相対的欠乏が地位財を求める

本書(幸せとお金の経済学)の著者であるロバート・フランクによれば、私たちの多くは豊かなお金持ちを見て、羨ましいという気持ちからではなく、いま自分の置かれている環境(コンテクスト)との比較で幸福か不幸かを判断しているんですね。

アメリカのセレブがバカでかい豪邸を建てて自家用ジェットで移動していても、そこまで羨ましくはないですよね。ほとんどの人は、すごいなあ、くらいの感想を持つだけで終わりなんじゃないでしょうか。

でも、自分の状況との比較は否応なしにしてしまう。その結果として人々が感じるのが、相対的欠乏です。相対的欠乏は需要を生み、コンテクストと評価の因果関係が強い地位財を欲するようになるのです。

社会に存在する様々なカースト

日本語版のまえがきで監訳者の金森重樹氏が挙げている分かりやすい例がママ友カースト。

ある環境において、所持品の金額で優劣を決めようとしてしまう習性。まさに地位財における地位獲得競争ですね。

最近だとインスタグラムなんかは、特に地位財の消費を促す格好のツールだと感じます。

ブランド品や滅多に食べられない料理をこぞってアップロードする様は、無意識に他者にマウンティングして幸福を感じたい意思が見え隠れします。また、インスタやTwitterでは、本来非地位財であるはずの旅行やレジャーまでも地位財的に用いられているフシが感じられます。

資本主義は底ナシ沼

地位財の競争に巻き込まれると、間違いなく経済的に疲弊します。

アメリカでも周囲との地位獲得競争を意識する中間層が借金してまで生活レベルを維持するようなことが書いていましたが、地位財の獲得に躍起になると、非地位財をおろそかにしてしまう。

待っているのは、多くの人の口から発せられる後悔です。

「もっと身体を大事にしておけばよかった」

「家族との時間を大切にすべきだった」

芸能界に一歩足を踏み入れると不幸になる

ここからは幸せとお金の経済学を読みながら思い浮かんだことです。本書での直接の記述はなく、私がインスピレーションを得た考えをいくつか書き残しておきます。

この世界で所得格差が一番ひどいコミュニティはどこかと言ったら、芸能界じゃないでしょうか。

私は芸能人ではないので内情を正確に知る由もないですが、表向きには幸福を売る商売でも、中の人たちは物凄い地位財の競争の毎日を過ごされているように思います。

どれだけお金を稼いでも、上には上がいる。傍目には充分恵まれているように見えても、非地位財に意識をシフトしなければ、相対的欠乏は消えないまま。

万人が羨むほどの女優さんなどでも心なしか幸せそうに見えないのは、このせいかもしれません。

なぜお年寄りはお金を使わず貯蓄するのか

タンス預金の額が増え続けています。とりわけ60歳以上の高齢者(富裕層)のタンス預金が平均額を押し上げています。

参考世帯貯蓄、過去最高1820万円 高齢者が平均額上げる(朝日新聞デジタル)

これを単なるケチとか倹約意識の高さで片付けるのは、的外れのように思います。

確かに昔ながらの倹約意識もあるでしょうが、貯蓄自体が非地位財で、持っているだけで持続的に幸せをもたらしてくれるから、という理由が大きそうです。

あとは不安への備えですね。安全や健康も非地位財。それを失いたくない思いでお金を手元にキープし続けていると考えれば、ある程度の説明はつきます。

地位財から得られる幸せが束の間のものであると、人生経験から察しているのでしょうね。今の若者より限られたコミュニティに長くいる方も多そうですから、相対的欠乏感もないのかもしれません。

また、貯蓄や健康以外に魅力的な非地位財がないことも原因のひとつでしょう。というより、非地位財には基本的にお金がかかりません。病院に行っても、健康保険でご老人の医療負担はメチャクチャ圧縮されていますから。

しかし魅力的な地位財といっても、レジャーなんかは老体には負担だし、現実的には難しいです。

もし富裕層の高齢者にもっと経済に寄与してもらいたければ、非地位財の為にはお金を惜しみなく使ってもらえればいいと思いがちですけど、それが上手くいかないからこの現状なんでしょうね。

ともかく、幸せとお金の経済学はこれからの資本主義をサバイバルしていく知識が得られる一冊だと思います。

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